最終確認日:2026年10月8日。公的機関などの資料で確認できた事実と、当社(Coni Group)の見方を、区別して書いています。制度や条件は変わることがあるため、輸入の前に、必ず、各機関で最新の情報を確認してください。
1. ダラットとラムドン省の花
ダラット(Đà Lạt)は、ベトナム南部の高原にあるラムドン省(Lâm Đồng)の中心的な花の産地です。ベトナム航空の案内[2]では、ダラットは海抜1,500メートルに位置し、温暖な気候がバラの栽培に適しているとされています。国内市場と輸出需要の両方に花を供給する、非公式の「バラの都」とも紹介されています。グラジオラスやカーネーションの主な栽培地域としても挙げられています。
ラムドン省は、花卉生産を戦略産業に指定し、国際競争力のある輸出品目として育成したい考えです(JICA案件化調査の概要資料)。一方で、同資料は、収穫、選別、梱包、輸送の各段階に課題が残ることも指摘しています(後述)。
ダラットの概要と、日本企業の活動の年表は、ダラットの生花ビジネスにまとめています。最新の産地の状況(天候、価格、輸出の動き)は、当サイトのニュースで、お伝えしています。
2. ダラット産の品種と季節
主な品種
ラムドン省の花の主力品種として、ベトナムの報道(2026年1月10日付)は、キク(hoa cúc)、バラ(hoa hồng)、グラジオラス(lay ơn)、ユリ(lily)、カーネーション(cẩm chướng)を挙げています[6]。
| 品種 | 確認できた情報 |
|---|---|
| キク (hoa cúc) | ラムドン省の主力品種の1つ[6]。日本人が、日本とオランダのキク31品種を導入し、日本への直接輸出を目的にダラット近郊で栽培した例があります(2016年の報道)[8]。農林水産省の「ベトナム 品目別検疫条件一覧表(貨物)」に、切り花として記載があります[7]。 |
| バラ (hoa hồng) | 主力品種の1つ[6]。ベトナム航空の案内は、ダラットを、バラ栽培に適した気候の「バラの都」と紹介しています[2]。2022年の報道では、ダラット市とその周辺は、国内最大のバラの産地とされています[9]。検疫条件の一覧表に記載があります[7]。 |
| ユリ (lily) | 主力品種の1つ[6]。検疫条件の一覧表に記載があります[7]。 |
| カーネーション (cẩm chướng) | 主力品種の1つ[6]。ベトナム航空の案内は、グラジオラスとカーネーションの主な栽培地域としても、ダラットに触れています[2]。検疫条件の一覧表に記載があります[7]。 |
| グラジオラス (lay ơn) | 主力品種の1つ[6]。 |
「lay ơn」は、ベトナム語でグラジオラスを指す呼び名です。ランは、検疫条件の一覧表では、切り花ではなく「苗」の区分に入っています[7]。
生産の規模
ベトナムの報道(2026年1月10日付)によると、2025〜2026年の冬春作期の、ラムドン省の花の栽培面積は約4,242ヘクタール、生産量は約17億本と推定されています。そのうち、テト(旧正月)向けの栽培面積は約4,000ヘクタール、生産量は約16億本です[6]。(同省の合併後の範囲を指すかどうかは、記事からは確認できません。)
季節(需要期)
- テト(旧正月):上の報道のとおり、花の生産量の大半(約17億本のうち約16億本)が、テト向けとされています[6]。
- 3月8日(国際女性デー):2022年の報道では、前日の3月7日時点で、赤いバラが1本7,000ドン、そのほかの色が5,000〜6,000ドンで、通常の1,000〜2,000ドンの数倍でした[9]。
- 10月20日(ベトナム女性の日):2026年10月は、バラ園の浸水で、この日の前の出荷への影響が懸念されました(当サイトのニュース)。
- 国内向けが大半:ダラットの花の85〜90%は、国内(ホーチミン市、ダナン、ニャチャン、ブンタウなど)で販売されると報じられています(2019年)[10]。
(当社の見方)国内の需要期(テト、3月8日、10月20日など)は、価格が上がり、良い品質のものが国内に回りやすい時期です。日本向けの調達では、国内の需要期と、日本側の需要期(お盆、お彼岸、年末年始、母の日など)の重なりを、あらかじめ確認し、計画的に発注することが大切です。雨の多い時期は、天候による出荷への影響にも注意してください。
確認できていないこと
3. 調達の全体の流れ
ベトナムから切り花を調達する場合の、一般的な流れです。
- 条件を整理する:品種、色、本数、規格(長さ・等級)、納品の時期と頻度、予算。
- 産地・生産者を選ぶ:ダラットの生産者や輸出事業者から、条件に合う調達先を選びます(品種と季節は、第2項)。
- 品質規格を決める:等級や仕分けの基準、梱包の仕様を、あらかじめ合意します。
- 産地での前処理と梱包:収穫後の処理と、温度管理を含む梱包。
- 輸出国側の検査・書類:輸出国の政府機関が発行する検査証明書(植物検疫証明書)を取得します。
- 輸送:温度管理を保った輸送。
- 日本での輸入検査と通関:植物防疫所での輸入検査を受け、通関します(第4項)。
- 受け取りと販売:到着後の品質を確認し、出荷します。
各段階を、自社で調整するのは負担が大きいため、窓口を一本化する方法もあります。当社のダラット生花輸出支援は、生産者の開拓、計画生産、品質管理、物流・輸出実務までを、日本語でサポートします。
4. 日本での輸入手続き(植物検疫)
農林水産省の植物防疫所(事業者向けの案内)[1]によると、植物を輸入するときの手続きは次のとおりです。
- 申請先:植物を輸入する港(空港)を管轄する植物防疫所。
- 申請書:「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」。
- 検査証明書:輸出国の政府機関が発行した検査証明書(植物検疫証明書)が必要です。
- 申請の時期:輸入予定日の7日前から受け付けています。
- 検査:日本国内で、輸入検査が行われます。
- 電子申請:植物防疫所の電子申請システムや、NACCSによる植物検疫関連業務の案内があります。
ベトナム産の切り花の、品目別の条件:農林水産省の「ベトナム 品目別検疫条件一覧表(貨物)」には、切り花として、バラ、ユリ、カーネーション、キクの記載があり、いずれも記号「Q」と、「日本での輸出検査が必要です」(原文のまま)と書かれています[7]。この一覧表には、「輸入検査」や「検査証明書」という語が出てこないため、検査証明書の要否は、この表からは読み取れません。上の一般的な手続きとあわせて、植物防疫所に、品目ごとに確認してください。
輸入条件の確認:植物防疫所の「輸入条件に関するデータベース」で、植物の種類と部位ごとの条件を調べられます。ただし、同データベースは、すべての植物を網羅しているものではなく、植物と部位の組み合わせが正確でないと正しい結果が出ない場合があります。対象は植物防疫法による規制のみで、ワシントン条約など、ほかの法令による制限は対象外です。輸入条件が変更されている場合もあるため、最終的には、輸入する港(空港)を管轄する植物防疫所に確認してください。
5. 関税・通関
切花は、関税率表の第06類(0603)に分類されます。関税率は、品目(バラ、カーネーション、キク、ユリなど)と、経済連携協定(EPA)などの適用の有無によって変わります。本ガイドでは、確認できた一次資料がないため、税率の数字は示しません。
輸入の前に、次の点を確認してください。
- 税関の実行関税率表(第06類)で、対象品目の税率を確認する。
- EPAの税率を使う場合の要件(原産地証明書の要否など)を、税関またはジェトロで確認する。
- 通関の手続きを、通関業者に依頼するかどうかを決める。
6. 鮮度・品質とコールドチェーン
JICAの案件化調査の概要資料(株式会社なにわ花いちばによる、ラムドン省とダラット市を対象とした調査)[4]は、次の課題を挙げています。
- 収穫、選別、梱包、輸送の各段階で、不適切な取り扱いや作業の習慣が残っている。
- その結果、流通段階での鮮度・品質の劣化が著しい。
- 対策として、産地での前処理の重要性と、「コールドチェーン」の考え方の普及と実践が必要とされている。
(当社の見方)この指摘は、調達先を選ぶときの確認点そのものです。産地での前処理の方法、冷却と保管の体制、梱包の仕様、輸送中の温度管理を、事前に確認することが、日本での品質のぶれを減らす近道になります。なお、上記資料は、調査の年が資料内に記載されていないため、現在の状況は、調達先に直接確認してください。
7. 調達先を選ぶときの確認点
(当社の見方)市場からのスポット買い付けでは、次のような課題が起きやすいと、当社は考えています。調達先を選ぶときは、これらに、どう対処しているかを確認してください。
- 品質のばらつき:規格が一定か。等級の仕分けの基準があるか。
- 供給の安定:需要期に、必要な量を確保できるか。計画生産に対応できるか。
- 履歴の確認:生産・流通の過程を、説明できるか。
- 温度管理:産地から輸送まで、冷蔵の連鎖が整っているか。
- 検疫・書類の対応:輸出国側の検査証明書の取得と、日本側の輸入検査の手続きに、慣れているか。
- 連絡の取りやすさ:日本語で、条件の相談や、問題が起きたときの連絡ができるか。
8. よくある質問
ダラットでは、どんな品種の切り花が作られていますか?
ベトナムの報道(2026年1月10日付)は、ラムドン省の主力品種として、キク、バラ、グラジオラス(lay ơn)、ユリ、カーネーションを挙げています。ラムドン省の花の栽培面積は、2025〜2026年の冬春作で約4,242ヘクタール、生産量は約17億本と推定されています。
ダラットの花の需要期は、いつですか?
国内では、テト(旧正月)が最大の需要期とされ、3月8日(国際女性デー)の前には、バラの価格が通常の数倍になる年もあります。10月20日(ベトナム女性の日)の前にも、バラの出荷が注目されます。日本向けの調達では、国内の需要期との重なりを、事前に確認してください。
ベトナムから切り花を輸入するとき、日本で必要な手続きは何ですか?
植物を輸入する港・空港を管轄する植物防疫所に、「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を提出して、輸入検査を受けます。輸出国の政府機関が発行した検査証明書(植物検疫証明書)が必要です。(農林水産省 植物防疫所の事業者向け案内より)
輸入検査の申請は、いつからできますか?
輸入予定日の7日前から受け付けられます。早めに、輸入する港・空港を管轄する植物防疫所に確認してください。
輸入できる品種や条件は、どこで調べられますか?
植物防疫所の「輸入条件に関するデータベース」で調べられます。ただし、すべての植物を網羅しているものではなく、植物と部位の組み合わせが正確でないと正しい結果が出ないことがあり、輸入条件が変更される場合もあります。最終的には、植物防疫所に確認してください。
関税はいくらかかりますか?
税率は、品目(切花は関税率表の第06類)と、経済連携協定(EPA)などの適用の有無で変わります。本ガイドでは、確認できた一次資料がないため、数字は示しません。輸入の前に、税関の実行関税率表と、EPA税率を使うための要件(原産地証明など)を確認してください。
ダラットは、どんな産地ですか?
ダラットは、海抜1,500メートルに位置する高原の街で、ベトナム航空の案内では、バラ栽培に適した温暖な気候とされ、国内市場と輸出需要の両方に花を供給する「バラの都」と紹介されています。ラムドン省は、花卉生産を戦略産業に指定しています(JICA資料)。
ベトナム産の切り花で、鮮度の面は心配ありませんか?
JICAの案件化調査の概要資料は、ラムドン省では収穫、選別、梱包、輸送の各段階で不適切な取り扱いが残り、流通段階での鮮度・品質の劣化が大きいと指摘しています。そのため、調達先を選ぶときは、産地での前処理と、コールドチェーン(温度管理)の体制を、必ず確認してください。
少量から相談できますか?
ご希望の品種・数量・時期をうかがったうえで、個別にご案内します。最小ロットなどの条件も、ご要望に応じてご案内します。サンプル請求・お見積りのフォームから、お気軽にご相談ください。
9. 参考資料
- 農林水産省 植物防疫所「輸入植物検査(事業者向け)」 https://www.maff.go.jp/pps/j/business/index.html
- ベトナム航空「ベトナムの花」 https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/plan-book/travel/travel-guide/flowers-in-vietnam
- 農林水産省 植物防疫所「輸入条件に関するデータベース」 https://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail_notice.html
- JICA「ベトナム国 切り花流通における鮮度・品質維持技術のトータル・コーディネーション事業 案件化調査(企業・サイト概要)」 https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/867/A171104_summary.pdf
- 税関「実行関税率表(第06類)」 https://www.customs.go.jp/tariff/2026_08_08/data/j_06.htm
- Thương hiệu & Công luận「Lâm Đồng chủ động nguồn rau, hoa phục vụ Tết Nguyên đán Bính Ngọ năm 2026」(2026年1月10日、ベトナム語) https://thuonghieucongluan.com.vn/lam-dong-chu-dong-nguon-rau-hoa-phuc-vu-tet-nguyen-dan-binh-ngo-nam-2026-a299672.html
- 農林水産省 植物防疫所「ベトナム 品目別検疫条件一覧表(貨物)」 https://www.maff.go.jp/pps/j/search/ekuni/as/viet_nam/kamotsu.html
- Báo Đầu tư「Doanh nhân trẻ người Nhật khởi nghiệp tại vùng hoa Đà Lạt」(2016年4月10日、ベトナム語) https://baodautu.vn/doanh-nhan-tre-nguoi-nhat-khoi-nghiep-tai-vung-hoa-da-lat-d42608.html
- Báo Văn hóa「Lâm Đồng: Giá hoa hồng tăng cao trước lễ 8.3」(2022年3月7日、ベトナム語) https://baovanhoa.vn/thi-truong/lam-dong-gia-hoa-hong-tang-cao-truoc-le-83-50066.html
- Viet Nam News「Flower farmers prepare for Tết」(2019年1月3日、英語) https://vietnamnews.vn/economy/483100/flower-farmers-prepare-for-tet.html
