最終確認日:2026年10月8日。公的機関・報道などの資料で確認できた事実に、出典の番号([1]など)を付けています。数字は、資料ごとに、調査の時点や対象の範囲が異なります。当社の見方は、「(当社の見方)」と書いて区別しています。
1. ダラットの概要
| 所在地 | ベトナム中部高原。ラムドン省(Lâm Đồng)の省都[1][4] |
|---|---|
| 標高 | 約1,500メートル(資料により1,475〜1,500メートル)[1][2] |
| 気候 | 年間を通じて涼しい。最高気温は、4月でも25℃前後[1] |
| 人口 | 406,105人(2019年)[1] |
| 歴史 | フランス植民地時代に、避暑地として開発された[1] |
| 主な産業 | 冷涼な気候を利用した野菜の生産、観光業[1]。花卉の栽培も盛んで、ベトナム航空の案内は、非公式の「バラの都」と紹介しています[2] |
| 主な観光地 | バオ・ダイの夏の離宮、ダラット大教会、スアンフーン湖、ダラット市場、クレイジー・ハウス、ダタンラ滝[1] |
2. 位置と地図
3. ダラットへのアクセス
| 出発地 | 手段 | 所要時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ハノイ | 空路のみ | 約1時間50分 | ノイバイ空港からリエンクオン空港への直行便。ベトナム航空が1日2〜3便、ベトジェット航空が1日1〜2便[11] |
| ホーチミン市 | 空路 | 約50分 | タンソンニャット空港からリエンクオン空港へ。ベトナム航空が1日3〜4便、ベトジェット航空が1日2〜3便[11] |
| 陸路(バス) | 約6〜8時間 | 距離は約300キロ。複数の事業者があり、寝台バスもあります[11]。ジェトロは、現在の所要時間を約6時間としています[4] |
便数・所要時間・運賃は、季節や時期によって変わります(上の便数は、参考資料の時点のものです)。出発の前に、航空会社やバス会社で、最新の情報を確認してください。
リエンクオン空港
- ダラットの空港は、リエンクオン空港(コード:DLI)です。ダラット市の中心部から約30キロ南に位置し、市内までは車で約30〜40分です[12]。
- 空港から市内へは、空港シャトルバス(40,000ドン)、公共バス(20,000ドン)、タクシー(250,000〜350,000ドン)などがあります(ベトナム航空の案内の時点)[12]。
- 国内線は、ハノイ、ホーチミン市、ダナン、カントーに就航しています[12]。
- 空港は、2026年3月4日から、滑走路などの改修工事のために閉鎖され、2026年8月19日0時に、運航を再開しました。再開後は、1日36〜40便の運航が見込まれています(2026年8月18日付の報道)[10]。
高速道路の建設
ジェトロの2026年3月のレポートによると、建設中のリエンクオン高速道路が、ドンナイ省のザウザイ高速道路と接続する予定で、完成すれば、ホーチミン市とダラット市の間の移動時間が、約6時間から約3時間に短縮される見込みです[4]。
(当社の見方)ハノイとダラットの間は、空路での移動が中心になります。サンプルや貨物の輸送、出張の計画では、ハノイ発の直行便と、ホーチミン市経由の陸路・空路の、両方の選択肢を比べてください。
4. ラムドン省
ジェトロの2026年3月19日付のレポートによると、現在のラムドン省は、旧ラムドン省、ダクノン省、ビントゥアン省の3省が合併して成立しました。面積は24,233平方キロメートルで全国最大、人口は387万人です。高原部は農業、沿岸部は観光開発に加え、鉱物・エネルギー分野の投資のポテンシャルがあるとされています[4]。
次の農業の数字は、合併前の旧ラムドン省について、2015年ごろの時点でまとめられたものです(アジア経済研究所、2017年)[3]。
- 同省は海抜800〜1,000メートルの中部高地に位置し、主要産業は農業です(省全体のGDPに占める割合は53%)。
- 玄武岩質の土壌は総じて肥沃で、工芸作物のほか、高品質な野菜や花卉の生産に適しています。
- 主要農作物は、コーヒー、茶、桑、カシューナッツのほか、野菜類や花卉類です。
- 2015年の花卉の栽培面積は、過去5年間で2倍に増えて7,650ヘクタール、年間の切り花の出荷総量は25億本でした。
5. 花の産地としてのダラット
ラムドン省は、花卉生産を戦略産業に指定し、国際競争力のある輸出品目として育成したい考えです[7]。NXベトナムの事務所新設を伝える2024年の記事では、同地区について、2030年までに東南アジア有数の生花生産地を目指すとされています[5]。
一方で、JICAの案件化調査の概要資料は、収穫、選別、梱包、輸送の各段階に課題が残り、流通段階での鮮度・品質の劣化が著しいと指摘しています[7]。この課題を背景に、日本の支援が行われています(次の「日本企業の活動」を参照)。
主な品種(キク、バラ、ユリ、カーネーションなど)と、需要期は、調達ガイドの「ダラット産の品種と季節」に、まとめています。調達の流れや、日本での輸入手続きも、あわせてご覧ください。
6. 日本企業の活動
5-1. 数字で見る日本企業の存在感
- 2015年:旧ラムドン省では、112件の海外直接投資のプロジェクトが実行されており、うち87件が農業関連でした。国別では、日本企業のプロジェクト12件が、台湾の46件に次いで2番目に多い数でした[3]。
- 2015年:ベトナムの農業部門への日本からの直接投資額は、前年の13倍に急増しました[3]。
- 2025年12月:ジェトロ・ホーチミン事務所の訪問の際、ラムドン省側は、日本企業22プロジェクト(総額7,800万ドル以上)が稼働中で、日本が省の総輸出額の23.6%以上を占めると説明しました[9]。
注:上の数字は、調査の時点、対象の範囲(合併前か後か)、集計の方法が異なるため、単純には比較できません。2025年の数字は、ベトナムの報道が伝えた、省側の説明です。
5-2. 年表:主な動き
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2008年 | 日系企業が、切り花の生産・輸出を目的に、ラムドン省に進出(報告書では「J社」と匿名)。1974年以来、海外からの切り花の輸入を手がけてきた企業で、日本の親会社の発注に基づいて生産。花卉栽培施設26棟(10ヘクタール)、投下資本600万ドルは、当時、同省に投資する外国企業の中で最大規模。現地の雇用は約100人[3] |
| 〜2015年 | 日本企業12社が、農業分野で投資。事業は、農水産物・青果物の加工輸出、野菜・花卉の生産、和牛、養鶏、イチゴ、マッシュルームなど。多くは日本市場向けの100%外資企業[3] |
| 2015年以降 | アジア経済研究所の分析:それまでの日系企業は、日本の親会社の事業を補完し、日本市場向けに原料や半製品を供給することが主な目的だった。2015年以降は、ベトナム国内や周辺市場向けの高品質商品を供給する新しい動きや、日系企業同士の連携の動きがみられる[3] |
| 2016年4月 | 日本人の松尾氏が、ダラット近郊で「Marine Agri Farm」を設立(Báo Đầu tưの報道)。日本とオランダのキク31品種を導入し、既存の2ヘクタールの温室を借りて、日本への直接輸出を目的に栽培。毎週土曜日に1.5万〜2万本のキクを出荷し、冷蔵コンテナでホーチミン港へ運び、海路で約10日かけて日本へ届けるとされる[8] |
| (年は資料に記載なし) | JICAの案件化調査:株式会社なにわ花いちば(大阪市)が、ラムドン省とダラット市を対象に、切り花流通の鮮度・品質を維持する技術の調査を実施[7] |
| 2023年7月 | JICAの事業ページによると、円借款「ラムドン省農業開発インフラ改善事業(フェーズ1)」の借款契約の調印は、2023年7月。借款契約額は47.3億円。花卉集荷センターの建設(1件)、道路・橋梁(9件)、灌漑施設(5件)の整備などを含む[6] |
| 2024年2月22日 | NIPPON EXPRESSホールディングスのグループ会社、NXベトナムが、ダラットに事務所を新設して営業を開始。生花の輸出に加えて、中部の多様な農産物の輸出強化を図る(2024年4月8日付の報道)[5] |
| 2025年5月30日 | HD Global Vietnam(ベトナム)と、日本のFlyhigh Inc.が、ラムドン省で、農産物の取引に関する協力協定に署名。対象の農産物には、キク(cúc)を含む[14] |
| 2025年6月2日(報道) | 日越の農業技術・農産物取引のワークショップで、日本の丸和バイオケミカルの農業用フィルムが、ダラットの複数の大手花企業で使われていることが紹介された[15] |
| 2025年12月10日 | ジェトロ・ホーチミン事務所が、行政区画の再編後の投資環境の調査のため、ラムドン省を訪問。省側は、日本企業22プロジェクトが稼働中であることなどを説明。話し合いでは、日本向けの輸出のための輸送ルートの開設も取り上げられた[9] |
| 2026年3月 | ジェトロが、ベトナム南部の地域レポートを公表。ラムドン省の成立、空港の改修工事、高速道路の建設などを報告[4] |
| 2026年3月4日〜8月19日 | リエンクオン空港が、滑走路などの改修工事のため閉鎖され、8月19日0時に運航を再開[10] |
| 2026年9月3日(報道) | JICAが支援するラムドン省の農業インフラ事業(15の小プロジェクト、2020〜2028年)の、資金の支出は約22%。ダラットの花取引センターの建設を含む[16] |
| 2026年10月6日(報道) | ラムドン省が、茨城県八千代町との農業協力を、種苗・育種技術、加工・保存の技術、日本企業の投資、直接取引の分野で進めたいと提案(報道は野菜が中心)[17] |
5-3. 活動の分野
- 花卉の生産・輸出:日本の親会社の発注に基づく切り花の生産(2008年〜)、日本人によるキクの栽培と日本向け輸出(2016年〜)。
- 野菜・農産物の加工・輸出:野菜の生産・加工、青果物の冷蔵加工、凍結乾燥などで、日本市場向けに供給。
- 物流:NXベトナムによる、ダラット事務所の新設(2024年)。
- 資材・技術:日本企業の農業用フィルムが、ダラットの大手花企業で使われている(2025年の報道)。日越の農業技術・取引の連携の動き(HD Global VietnamとFlyhigh Inc.の協定、八千代町との協力の提案)。
- ODA(日本の政府開発援助):花卉集荷センターを含む農業インフラの整備(円借款、2023年〜)、花卉の流通改善に関するJICAの調査。
年表の各項目の詳しい内容は、当サイトのニュース(カテゴリ「日越・企業」)の記事にまとめています。最新の動きも、ニュースでお伝えしています。
7. 日本の事業者への示唆
(当社の見方)
- ダラットでは、2008年に日系企業が切り花の生産を始めた記録があり、その後も、日本企業の農業・物流分野の動きが続いています。ただし、企業名が匿名の資料も多く、各社の現在の状況は、個別に確認が必要です。
- 鮮度の維持(産地での前処理とコールドチェーン)が、継続的な課題とされています。調達先を選ぶときの、重要な確認点です。
- 空港の改修工事は終わり(2026年8月19日に運航再開)、今後は、高速道路の完成による、ホーチミン市との移動時間の短縮が見込まれています。物流の条件が、改善に向かう時期にあります。
ダラット産の花の調達を、日本語でサポートするダラット生花輸出支援も、ご覧ください。
8. よくある質問
ダラットは、ベトナムのどこにありますか?
ベトナム中部高原にある、ラムドン省の省都です[4]。標高は約1,500メートルで、年間を通じて涼しい気候です[1][2]。
ダラットは、なぜ花の産地として知られていますか?
高原の涼しい気候と、肥沃な玄武岩質の土壌が、野菜や花卉の栽培に適しているためです[3]。ベトナム航空の案内では、バラ栽培に適した温暖な気候で、国内市場と輸出需要の両方に花を供給する、非公式の「バラの都」と紹介されています[2]。
ダラットには、日本企業が進出していますか?
はい。2015年時点で、ラムドン省で農業投資を行う日本企業は12社で、台湾に次いで2番目に多い国でした[3]。2025年12月のジェトロ訪問の際、ラムドン省側は、日本企業22プロジェクト、総額7,800万ドル以上が稼働していると説明しています[9]。
ダラットへは、どうやって行きますか?
ハノイからは、空路(直行便、約1時間50分)です。ホーチミン市からは、空路(約50分)と陸路(バス、約6〜8時間)の両方があります。ダラットの空港(リエンクオン空港)は、市の中心部から約30キロ南にあり、車で約30〜40分です。
リエンクオン空港は、今、使えますか?
2026年3月4日から、改修工事のために閉鎖されていましたが、2026年8月19日0時に、運航を再開しました。再開後は、1日36〜40便の運航が見込まれています(2026年8月18日付の報道)。最新の運航状況は、航空会社で確認してください。
9. 参考資料
- Wikipedia(日本語)「ダラット」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ダラット
- ベトナム航空「ベトナムの花」 https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/plan-book/travel/travel-guide/flowers-in-vietnam
- アジア経済研究所『途上国における農業経営の変革』第5章「ベトナムにおける農業投資環境と日系農企業の事業戦略の変化―ラムドン省を事例に―」辻一成(2017年) https://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Reports/InterimReport/2016/pdf/C01_ch05.pdf
- ジェトロ「ベトナム南部(後編)南東部の優位性、南中部ではインフラに課題」(2026年3月19日、ジェトロ・ホーチミン事務所) https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2026/bb473e5f85935bf1.html
- Logistics Today「NXベトナム、ダラットに事務所新設」(2024年4月8日) https://www.logi-today.com/600671
- JICA「ラムドン省農業開発インフラ改善事業(フェーズ1)」 https://www.jica.go.jp/oda/project/VN19-P2/
- JICA「ベトナム国 切り花流通における鮮度・品質維持技術のトータル・コーディネーション事業 案件化調査(企業・サイト概要)」 https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/867/A171104_summary.pdf
- Báo Đầu tư「Doanh nhân trẻ người Nhật khởi nghiệp tại vùng hoa Đà Lạt」(2016年4月10日、ベトナム語) https://baodautu.vn/doanh-nhan-tre-nguoi-nhat-khoi-nghiep-tai-vung-hoa-da-lat-d42608.html
- Báo Lâm Đồng「Lâm Đồng tiếp đoàn JETRO tìm hiểu về môi trường đầu tư」(2025年12月10日、ベトナム語) https://baolamdong.vn/lam-dong-tiep-doan-jetro-tim-hieu-ve-moi-truong-dau-tu-409425.html
- VTC News「Từ ngày mai, sân bay Liên Khương được khai thác trở lại」(2026年8月18日、ベトナム語) https://vtcnews.vn/tu-ngay-mai-san-bay-lien-khuong-duoc-khai-thac-tro-lai-ar1035034.html
- Vietnam Tourism「Getting to Da Lat: flights, buses and the sleeper coach routes」 https://www.vietnamtourism.com/ja/getting-to-da-lat-flights-buses-and-the-sleeper-coach-routes
- ベトナム航空「ダラット空港」 https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/plan-book/travel/travel-guide/airport-dalat
- 地図:ベトナム全体の概略図は、Natural Earth(パブリックドメイン)の国境データをもとに、当社が作成
- LSVN「HD Global Việt Nam ký kết thỏa thuận hợp tác với Flyhigh Inc. Nhật Bản」(2025年5月31日、ベトナム語) https://lsvn.vn/cong-ty-tnhh-dau-tu-va-thuong-mai-dich-vu-toan-cau-hd-global-viet-nam-ky-ket-thoa-thuan-hop-tac-voi-flyhigh-inc-nhat-ban-a158408.html
- Vietnam Agriculture「Fostering trade connectivity and agricultural technology」(2025年6月2日、英語) https://van.nongnghiepmoitruong.vn/fostering-trade-connectivity-and-agricultural-technology-d756035.html
- Báo Nhân Dân「Lâm Đồng thúc đẩy triển khai các tiểu dự án ODA」(2026年9月3日、ベトナム語) https://nhandan.vn/lam-dong-thuc-day-trien-khai-cac-tieu-du-an-oda-post986209.html
- Tạp chí Điện tử Nông nghiệp Hữu cơ Việt Nam「Lâm Đồng mở rộng cơ hội hợp tác nông nghiệp với Nhật Bản từ thế mạnh rau củ quả」(2026年10月6日、ベトナム語) https://nongnghiephuuco.vn/lam-dong-mo-rong-co-hoi-hop-tac-nong-nghiep-voi-nhat-ban-tu-the-manh-rau-cu-qua-17634.html
